屋根の急所「谷板金」のトラブルを放置しないで!雨漏りの原因と補修の重要性
2026.02.27 (Fri) 更新

みなさんこんにちは!
今週は久しぶりにまとまった雨が降り、東京都心で10ミリ以上の雨が降るのはなんと約3カ月半ぶりだそうです!
庭木や畑にとっては恵みの雨ですが、私たち屋根工事に携わる人間にとっては、住まいの弱点が表に出やすいタイミングでもあります。
屋根の劣化というと「瓦のズレ」「棟板金が浮いている」など、目に見える部分ばかりに行きがちですが、実はもっとも見落とされやすく、雨漏りの原因になりやすいのが“谷板金”の不具合です。
さて、本日のテーマは【谷板金】についてです!
目次
谷板金とは?屋根の中で最も水が集まる場所

谷板金(または谷樋)とは、屋根と屋根がぶつかり合う「谷」のようになっている部分に設置された金属製の板のことです。

屋根に降った雨水はすべてこの谷に集まり、樋(とい)へと流れていきます。いわば「屋根の排水溝」のような役割を果たしている、非常に重要なパーツで家の中で最も雨水が流れる量が多い場所です。
なぜ谷板金は雨漏りしやすいのか?

谷板金は、屋根の中で最も過酷な環境にさらされています。雨漏りが起きやすい主な理由は3つあります。
- 経年劣化による「錆(さび)」

以前は銅板が主流でしたが、現在はガルバリウム鋼板が一般的です。どちらも耐久性は高いですが、長年の酸性雨や落ち葉の堆積により、穴が開く(腐食)ことがあります。 -
ゴミが溜まりやすい
谷に落ち葉や泥が溜まると、水の流れがせき止められます(オーバーフロー)。行き場を失った水が、板金の横から屋根材の裏側へ侵入し、雨漏りを引き起こします。 -
歪みや変形

地震や積雪の重み、あるいは金属の熱膨張によって板金が浮いたり歪んだりすることがあります。わずかな隙間でも、大量の雨水が流れる場所では致命傷になります。
しかし谷板金は、すべての屋根にあるわけではありません。
家の形が複雑になればなるほど増える傾向にあります。
谷板金がある屋根・ない屋根の違い

屋根材(瓦・スレート・金属など)に関係なく、谷があれば谷板金がある、谷がなければ谷板金はない、とてもシンプルな仕組みです。
谷板金がある屋根
屋根の面と面がぶつかって「V字の谷」ができる屋根には必ず谷板金が使われます。
● 複雑な形状の屋根(L字型・T字型・コの字型)
上から見た時に正方形や長方形ではなく、建物が折れ曲がっている形状の屋根には必ずと言っていいほど「谷」が発生します。
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入母屋(いりもや)屋根
伝統的な和風住宅によく見られる、複雑な構造の屋根。 -
増改築した家
後から部屋を付け足した場合、既存の屋根と新しい屋根がぶつかる場所に谷が生まれます。
● 「ドーマー(小さな屋根付き窓)」がある屋根
洋風の住宅で、屋根からポコっと突き出した小さな窓(ドーマー)がある場合、その窓の屋根とメインの屋根が合流する部分に小さな谷板金が設置されます。
谷板金がない屋根
逆に、谷ができないシンプルな屋根には谷板金は不要。
● 切妻屋根(シンプルな形)
● 片流れ屋根(単体)
● 陸屋根(フラット屋根)
屋根面が交差しないため、谷が存在しない。
谷板金との「相性」で注意が必要な屋根材の種類
谷板金との「相性」でトラブルが起きやすい組み合わせもあります。
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日本瓦(瓦屋根)×銅板の谷板金
昔の瓦屋根には「銅板」の谷板金がよく使われていました。
しかし、最近の研究では「瓦から落ちる雨水の成分が、特定の箇所の銅を腐食させて穴をあける」という問題(酸性雨の影響)が増えています。豆知識:築年数の古い和風住宅の瓦屋根で「谷板金が銅製」の場合は、目に見えない小さな穴が開いている可能性が高いです。
瓦屋根で銅板の谷板金は、現在もっとも雨漏りリスクが高い組み合わせのひとつです。 -
スレート(コロニアル)
板金が固定位置からズレや浮きが発生しやすく、そこから水が入り込んで下地の木材を腐らせることがあります。
要注意!谷板金のトラブルサイン
谷板金は常に水にさらされるため、定期的なチェックが必要です。
放置すると建物全体の寿命を縮めてしまう「危険なサイン」をまとめました。
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板金のズレ・浮き
強風や地震、経年劣化によって板金が固定位置からズレることがあります。わずかな隙間からでも雨水は侵入します。 -
錆(サビ)の発生
表面に赤錆や白錆が出ている場合、腐食が進行して穴が開く一歩手前です。 -
落ち葉や泥の堆積
谷に植物が生えていたり、泥が詰まっていると、雨水が正しく排出されず、屋根材の裏側に水が回ってしまいます。 -
天井のシミ・カビ臭
これらはすでに雨漏りが始まっているサインです。早急な点検が必要です。
スレート屋根の谷板金ズレ補修
先日、柏市のN様宅で現地調査を行いました。
【調査結果】
谷板金がズレ軒先を大きく超え、雨樋が機能していない状態でした。

原因としまして、棟(屋根の頂点部)にある棟板金の繋ぎ目不良によりズレが生じており、そのズレにより段差ができ棟板金と接する谷板金の内部の「引っ掛かり」が取れかかっている状態です。

また、谷板金の繋ぎ目がズレておりまだ、重なりがありますが、この重なりからずれると隙間が生まれ雨漏りリスクが一気に高まります。
室内にはまだ被害は出ていませんでしたが、雨水が内部へ回り込む寸前の状態でした。
【施工内容】
谷板金は、スレート材の下に隠れるように設置されており、内側から戻すことは出来ません。
そのため、谷板金の先端をカットし、長さの調整を行い、ズレが生じていた繋ぎ目にはシーリング処理とアルミテープにて補強いたしました。

柏市N様邸の施工事例はこちら▽
谷板金のメンテナンス方法
塗装メンテナンス
谷板金はガルバリウム鋼板が使われることが多く、サビにくい素材ですが、劣化しないわけではありません。劣化が進むと表面のコーティングが剥げ一気にサビが広がります。
サビが進行すると金属が薄くなり、最終的に指で押せるほど脆くなります!
谷板金が軽度のサビ、色あせ、表面の劣化などの場合は、塗装メンテナンスを行います。
塗装メンテナンスは、サビの発生を食い止め、穴あき(腐食)を防止し、排水をスムーズにするため雨水や泥が流れやすくなり、ゴミの堆積を防げます。

スレート屋根の場合は屋根塗装と同時に行うのが効率的です。
瓦屋根の場合、瓦の塗装は不要ですが、板金部分はサビつくのを予防するために板金部分のみ塗装メンテナンスをおすすめします。

部分補修
谷板金は数メートルの板を重ね合わせて設置されています。この「つなぎ目」は、屋根の中でもトラブルが起きやすい場所です。
経年劣化により、接合部(ジョイント部)の重なりがズレたり、浮き上がったりして隙間が生じます。
谷板金は雨水の通り道ですので隙間ができると、雨漏りリスクが一気に高まります。
谷板金は屋根材の下に潜り込んでいるため見えにくい部分ですので、劣化を見落としてしまいます。
谷板金は定期的な点検により雨漏りリスクを大幅に減らすことが出来ます。

全交換(瓦屋根)
谷板金に広範囲のサビ・腐食が見られ穴が開いている場合は、「部分補修」ではなく「交換」が必要です。
築年数の古い和風住宅では銅板を使用している可能性が高く、谷板金をすべて交換することをおすすめしております。
谷板金を部分的に交換する場合、錆が残っていると新しい谷板金に付着して移ってしまう可能性があります。
また、再利用ができる瓦屋根以外の屋根材は、1箇所の谷板金を交換する場合は、両隣の2面分の屋根材を剥がす必要があります。スレートやアスファルトシングルなどの屋根材の場合は、再利用ができないためカバー工法をおすすめします。
スレート屋根の谷板金交換がむずかしい理由
スレート屋根の「谷板金交換」について、「一部の板を替えるだけ」に見えますが、実は「もっとも神経を使う、難易度の高い工事」の一つと言われています。
なぜならば谷板金の上にスレートが“かぶさっている”構造だから
谷板金は、屋根の2つの面が合わさる「溝」の部分に設置されています。スレート屋根の場合、この板金はスレート瓦の下に深く潜り込んでいます。
つまり、板金を交換するためには、周辺のスレートをかなりの広範囲にわたって一度剥がさなければなりません。
また、剥がしたスレートは再利用することが出来ないため、“部分工事なのに大工事”になりやすいのです。
谷板金交換よりカバー工法の選択
瓦以外の屋根材で谷板金の交換が必要になった場合は、カバー工法をおすすめします。
カバー工法の方がコスパが良い理由は
① 足場代の有効活用
屋根工事で最も「もったいない」のが足場代です。谷板金だけを直しても、10年後に屋根全体が寿命を迎えれば、また高額な足場代を払うことになります。
カバー工法で一度に全て新しくしてしまえば、向こう20〜30年は大きなメンテナンスが不要になり、生涯コストを抑えられます。
② 雨漏りリスクの根本解決
谷板金が劣化しているということは、屋根全体の防水シートも同等に劣化しているサインです。
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谷板金交換
「点」の修理。他の場所から雨漏りするリスクが残る。 -
カバー工法
「面」の保護。屋根全体を新しい防水シートと屋根材で覆うため、安心感が違います。
谷板金交換よりカバー工法の方が結果として一番安く、長く家を持たせることができるのです。
★カバー工法の施工過程に関しては、こちらのブログをご覧ください!▽
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