流山市 第一生命ビルの屋上防水【20年耐久・塩ビシート防水とウレタン防水の複合工法】
2025.08.01 (Fri)
千葉県流山市 第一生命ビル 施工データ
工事内容 | ビル屋上防水【塩ビシート防水(機械固定工法)・ウレタン防水(通気緩衝工法)複合工法】 |
---|
担当者より
この度、流山市第一生命ビルの屋上防水工事をご依頼頂きまして、無事に完工致しました。
第一生命ビルの屋上について施工前の状態は、アスファルト防水(保護コンクリート仕様※シンダーコンクリート)で20年間メンテナンスをしておらず雨漏りが発生しており、また保護コンクリート層の割れなど著しい劣化が目立ちました。
そこで、耐久性が高い塩ビシート防水(機械固定工法)が推奨されるが、設備架台などが多く施工上のコストが膨れてしまうため、ウレタン防水(通気緩衝工法)との複合工法でコストにも配慮したご提案をさせて頂きました。
ご提案の後、シャインへ工事をご依頼下さいました。
誠にありがとうございます。
屋上防水工事の概要
第一生命ビルの屋上を塩ビシート防水とウレタン防水の複合工法にて改修工事を行いました。複合防水というのは全て同一の防水材料を使用せず別の防水材を使用して施行する工法です。
屋上防水工事 施工前
既存の防水層はアスファルト防水保護コンクリート(シンダーコンクリート)仕上げでした。
アスファルト防水層を保護し劣化を防ぐ目的で施工するのが保護コンクリートであり防水層の上に保護コンクリートを敷設し風雨や紫外線から保護する役目もあります。
このコンクリートを【保護コンクリート】といいますが、防水層の上から押さえることから【押さえコンクリート】と呼ばれることもあります。
一般的なコンクリートは重量があり建物の重荷が大きくなり影響が出るため、出来るだけ軽い材料であることが重要な要素となります。そこでシンダー(石炭殻)を骨材とした軽量コンクリートを使用されていました。その材料を【シンダーコンクリート】といいます。
近年では人工軽量骨材を使用したものが主流となっており、シンダーを使用しないため、保護コンクリートと呼ばれることが多いようです。
保護コンクリートの劣化
シンダーコンクリートは軽量のため施工性に優れていますが、強度は低くまた打設する厚さも6cm程度と薄く紫外線など自然環境から防水層を保護することが目的ですので、防水性が低いためひび割れが発生しやすいです。
伸縮目地の劣化
伸縮目地が傷んで飛び出ており、目地部が欠損している箇所もあります。
伸縮目地は一般的に縦横3m程度の間隔で設置されており、コンクリートの伸縮によるひび割れや膨張を吸収し防水層の劣化を防ぐ役割があります。
しかし伸縮目地も経年劣化によりその機能が失われることがあります。伸縮目地の機能が失われるとコンクリートの伸縮が抑えられず次第に目地周りが割れや剥がれから間に溝ができ水たまりの発生に繋がります。そうなると防水層の劣化を早めることになり、躯体に浸水してしまうことも懸念されます。
塩ビシート【機械固定工法】防水工事
高圧洗浄
まずは高圧洗浄で防水面を綺麗に整えていきます。平滑になるように仕上げておかないと防水面が凹凸に仕上がってしまい、後々の勾配不良の原因になってしまいます。
下地補修
欠損部清掃
樹脂モルタル
ひび割れや欠損している箇所は清掃をおこない樹脂モルタルで補修します。
伸縮目地部の補修
伸縮目地撤去
プライマー塗布
シーリング充填
完成
伸縮目地材を残したまま上から補修してしまうと、後に盛り上がる事もあります。酷い場合には新設する防水層を突き破ってしまう事も有るので、全て撤去しシーリング材で埋めておきます。
水切り金物撤去
既存の水切り金物を撤去します。
下地調整
樹脂モルタル
平滑にします
シンダーコンクリートは、経年劣化により表面がザラザラであることが多く、そのままでは新規防水材の密着不良や防水層の剥離を引き起こす可能性があります。
新規防水材を施工する前に、下地調整を行い表面を滑らかにすることが必要です。
樹脂モルタルにて平滑にします。
樹脂モルタルは、接着力や曲げ強度に優れており、中性化の抑制や防錆などの効果も期待できます。乾燥が早く軽量であること、そして弾力性を発揮してひび割れを防ぐことなど、補修材としての適性に優れています。
絶縁シート敷設
下地調整が終わりましたら絶縁シートを敷き詰めていきます。
絶縁シートは防水層と下地を直接密着させないために設置され、水分を含んだ防水層の膨れを低減し、下地の亀裂や振動などに影響されないようにするため設置されます。
シワやたるみに気を付けながら丁寧に施工していき、ジョイント部分にはテープでしっかりと貼り付けていきます。
ディスク取付
IHディスク固定
600mm間隔
絶縁シートの上から固定金具(ディスク)を打ち込んでいきます。
IHディスクと呼ばれる器具を600mm間隔で固定していきます。
しっかり既定の間隔を守りディスクを設置する事が重要です!
※ディスク間隔を広げてコストカットする業者もいるようですので、業者選びは注意が必要です。
このディスクが後に取付ける塩ビシートとの接着部分となるので、接着剤などを使用せずに塩ビシートを取り付けることが可能です。
このように機械を使用して塩ビシートを固定することから機械固定工法と呼ばれています。
入隅・端末鋼板取付
入隅や端末に鋼板をドリルで穴を開けビスで固定し取り付けていきます。
改修ドレン設置
塩ビ製改修ドレン
改修ドレンとは既存のドレンに新しいドレンを被せて補修する方法です。
※既存ドレンの形状・サイズを確認をし、適切なサイズの補修ドレンを選定することが重要です!
筒状にした塩ビシートをドレンに差し込みます。
下地に接着し、改修用ドレンを防水層で覆ったら、ドレンキャップを設置し完了です。
塩ビシート敷設(平場)
塩ビシート
40mm以上重ね合わせる
絶縁シートの上から、塩ビシートをシワにならないように引っ張りながら敷き込みます。
この塩ビシートがメインの防水層となります。
※重ね部分は40mm~50mmです。
溶着貼付
塩ビシートを40mm以上重ね合わさってることを確認し、専用の溶着液でシート同士を密着させます。
熱溶着
溶着後はチェック棒を使用し、シートの接着不良箇所をチェックし、溶着が甘い箇所はライスター(熱風機)で加熱し熱溶着します。
熱でシート同士が溶けて一体化するので、ジョイント部が剥がれることがなく雨が侵入する心配がありません。
塩ビシート敷設(立ち上がり部)
立上り部塩ビシート貼付
熱溶着
プライマー塗布
シーリング充填
丁寧に均します
完成
立ち上がり部も隙間がないように、塩ビシートをしっかりと貼り付け隙間を防ぎます。
立ち上がり部は溶着後、入隅とシートの重なり部分はライスター(熱風機)で熱溶着します。
立ち上がり上部にシーリング充填し丁寧に均します。
補強パッチ貼付
改修ドレンまわりの細かなコーナー部分もパッチ(円状の塩ビシート)を貼り付け、あらゆる面から雨水の侵入を防ぎます。
FLシーリング充填
塩ビシート繋ぎ目
改修ドレン部
立ち上がり部
塩ビシートのつなぎ目は、同素材のシール材でジョイント部分を保護しさらに防水性を高めるために重要な作業です。
脱気筒設置
通気穴
脱気筒固定
溶着
脱気筒は、屋上に設置されている筒状の構造物です。
防水層と下地との間に発生する水蒸気を排出する役割を持つ重要な筒です。
屋上に脱気筒が設置されていなければ、雨や湿気、太陽熱の寒暖差の影響を受け発生した水蒸気を外に逃すことができず、防水層と下地との間に膨らみができて隙間を作ってしまいます。
脱気筒を設置することで、結果的に防水層の劣化を防ぎ、雨漏りのリスクが低減します。
誘導加熱器接着
塩ビシート下に取付けてあるディスクを誘導加熱器で加熱し、塩ビシートと接着させます。
きちんと接着ができるとうっすらとディスクの跡が浮かんできます。
塩ビシート機械固定工法完了
塩ビシート防水工事の完了です。
ウレタン防水【通気緩衝工法】防水工事
プライマー塗布
プライマー塗布
プライマー塗布完了
清掃と下地調整が終わりましたら防水材の密着を良くするためのプライマー(下塗り材)を塗布します。
プライマーは、下地と通気シートとの密着性を高めます。
また、下地の吸い込み具合や湿気の影響など最終確認をすることが重要です。ムラなく均一に塗布していきます。
通気緩衝シート敷設
通気緩衝シート
敷設
ジョイントテープ
プライマーが乾いたら通気緩衝シートを敷き詰めていきます。
通気緩衝シートの裏面に粘着層(自着層)があり、白い部分が通気層部分。黒い部分に粘着層部分となっております。
通気緩衝シートの繋ぎ目はジョイントテープを貼り付けて隙間を埋めます。ジョイントテープを貼ることで、ウレタン防水材が下地に入り込まないようにします。
立ち上がり部脱気盤取付
アルミ製通気導
補強クロス貼付け
シーリング充填し完成
立ち上がり脱気盤は、平場に脱気筒などの脱気装置を設置する事が困難な場合に、立ち上がり面に設置する事が出来る脱気装置です。
押さえカバーで防水層の端末部をしっかりと押さえ込み、剥離を防ぎます。アルミ製の通気導で平場から立ち上がり面まで湿り空気を誘導します。
ウレタン防水平場【1層目】
平面部分と立ち上がり部分では材料の硬さを使い分けるため、防水材は立上り用と平面用に分かれます。
ウレタン防水立ち上がり部【1層目】
専用下地塗布
補強クロス貼付け
ウレタン防水材塗布
立ち上がり部を専用下地にて塗布します。
立ち上がり入隅部に補強クロス貼付け後ウレタン防水材を塗布します。補強クロス貼付けは、防水層の強度と密閉性を確保する重要な工程です。
立ち上がり部をしっかり補強することは防水層全体の長持ちに繋がります。
ウレタン防水平場【2層目】
1層目と同様に塗り重ねます。複数回の塗布によって防水層を形成することで、防水性能が格段に高まるのです。
ウレタン防水立ち上がり部【2層目】
ウレタン防水【全体】
トップコート塗装
ウレタン防水材の塗布が完了したら、トップコートを塗布します。
既に防水効果は発揮できるのですが、むき出しになったままの防水層は紫外線や風雨によって劣化してしまいますので、保護のために表面をトップコートで覆います。
完成
ウレタン塗膜防水
シートで施工出来ない設備架台周りはウレタン塗膜防水で施工しました。
下地調整
プライマー塗布
ウレタン防水1層目
ウレタン防水2層目
トップコート塗装後完成
屋上笠木ウレタントップコート
屋上笠木をトップコート塗り替えにて施工しました。
プライマー塗布
トップコート塗布1層目
トップコート塗布2層目
屋上防水工事完成
最後に点検をして完成です。
今回の物件はビルの屋上でしたので設備機器が多くとても大変な作業になりました。
防水工事には職人の高度な技術が必要です!いくら素晴らしい資材でも職人の腕が悪いと資材の最大の機能を発揮することができません。最悪は漏水につながってしまいます。
塩ビシート防水、ウレタン防水、FRP防水など弊社は全ての防水工事の施工が可能です!
またビルから一戸建まで幅広く対応しております。