外壁で起こる【凍害】って知っていますか?劣化症状やレベル別の補修方法などを徹底解説!
2025.01.25 (Sat) 更新
みなさんこんにちは!
ついこの間まで年末年始だったのに、早いものでもう1月が終わろうとしています…。
1~2月は真冬!というイメージが強いですが、最近はほんのり春を感じるくらい、日中とても暖かい日が増えてきましたね!この調子で早く暖かくなってほしいものです…
さて、本日のテーマは【凍害】についてです!
目次
凍害とは何なのか?
みなさん、「凍害(とうがい)」という言葉を耳にしたことはありますか?
外壁に重度の塗膜の剝がれやひび割れが発生している場合、それは単なる劣化ではなく「凍害」と呼ばれる症状かもしれません。
外壁における凍害とは外壁内に浸入した水分によって建材が劣化して塗膜の剝がれやひび割れを引き起こす現象のことで、冬の気温が0度を下回るなど、気温が低くまた昼夜の気温差が激しい地域で起こりやすい現象です。
凍害が発生すると塗膜が剥がれて外壁内部が露出した状態になってしまうため、放置しておくと外壁内に水分が吸収されて建材などにまで劣化が広がってしまいます。
自己判断で放置してしまうと後々大掛かりな補修をせざるを得ない状況になってしまうおそれがありますので、出来るだけ早めにプロに見てもらうことが大切です。
しかし、凍害という名前は聞いたことがあるけれどイマイチどんな症状なのか理解していない、または全く何も知らないという方も多いと思いますので、今回は凍害の症状やメカニズムなどの基本的な情報と共に、凍害が発生した時のメンテナンス方法なども紹介していきます!
凍害の起こるメカニズム
凍害は大きく2種類に分けられます。それぞれ発生するメカニズムが異なるため、一つずつ解説していきます。▽
初期凍害
コンクリートは、型に流し込む際に原材料であるセメントと水が「水和反応」という化学反応を起こすことによって固まります。
しかし、コンクリートを流し込んだ後に気温が低い環境が続くと、硬化される前に水分が凍ってしまい、固まるための「水和反応」が阻害されて十分な強度や品質を得られなくなってしまいます。これを「初期凍害」といいます。
窯業系サイディングボードの外壁は予め工場で大量生産されたボードを現場でカットして留め付けつけていくため、この初期凍害のような現象が起こることはほぼありませんが、
型枠に生コンクリートを流し込んで固めて形成する「打放しコンクリート」のような住宅の外壁の場合では起こり得る劣化現象です。
凍結融解による凍害
凍結融解による凍害とは、冒頭で説明したように外壁内に水分が浸入して建材を劣化させ、塗膜の剝がれやひび割れを引き起こす現象のことです。
窯業系サイディングボードの外壁に一般的によく見られる凍害の症状はこのことを指します。
詳しく解説すると、
まず外壁の隙間から外壁内に入り込んだ水分は
夜に気温が低下して凍結→昼に気温が上がり溶解
といった凍結融解を繰り返します。
水分は凍結すると約9~10%近く体積が増加するため、外壁内で膨張します。しかし、昼間に暖かくなると凍結した水分は溶け、体積も元に戻ります。これを繰り返していくうちに、建材には徐々にダメージが蓄積されていきます。
そして、最終的に脆くなった外壁が凍結時の体積膨張に耐えきれず、塗膜の剝がれや外壁のひび割れを引き起こしてしまうのです。
塗膜が剝がれたりひび割れが生じた箇所は防水機能が働かないためさらに水分が侵入しやすくなり、そこでまた浸入した水分が凍結→膨張→融解を長期的に繰り返しながら劣化が進行していくのです。
凍害はどんな症状が起こる?
ひび割れ
細かなひび割れは凍害の初期症状です。
外壁内の水分が凍結して膨張することによって外壁に圧力がかかってひび割れが発生します。
放置しておくと後々悪化してくるため、この初期のひび割れの段階でいかにすぐ補修するかがカギとなります。
ポップアウト現象
初期症状であるひび割れから水分が浸入し、それが凍結膨張することで表面の塗装が薄い皿のように剥がれ落ちてしまう現象を「ポップアウト現象」といいます。
凍害の代表的な劣化症状で、このポップアウト現象の進行具合が外壁の劣化状況の指標となります。
スケーリング
ポップアウト現象と同様に水分の凍結膨張によって塗膜の表面が剝がれてしまう症状で、薄いうろこ状に剝がれ落ちていきます。
最低気温がマイナス2度以下の環境で発生しやすい傾向があります。
爆裂
凍害による影響がひび割れや表面の剝離だけに留まらず、中から壁材を壊してしまい外壁が破裂したかのように見える症状を爆裂といいます(上画像参照)。
サイディング外壁の場合は凍結融解が原因であることがほとんどですが、ALC外壁の場合は、浸水で内部の鉄筋が錆びることによる膨張でも爆裂が起こることがあります。
凍害が発生しやすい場所
凍害は基本的に湿気の多い場所に発生しやすい傾向があります。特によく見られる箇所を以下にまとめました。▽
また、凍害の発生地域は全国にわたりますが、特に東北や北陸地方などの寒冷地では発生率が高く、被害も大きいと言われています。
水回り周辺
浴室や洗面所、キッチンなどの水回りの付近は湿気を多く含むため、内部結露が発生しやすいです。
そしてその結露の水分を外壁が吸収し、冬場になって凍結することで凍害の発生に繋がります。
窓のサッシ付近
結露は室外と室内の温度差が激しい場所で起こりやすい傾向があります。
冬場は暖房をつけるため、リビングなどのサッシ周りは外気との温度差によって結露が発生しやすく、また長時間続く傾向があるため凍害が発生しやすいと言われています。
建物の北側
建物の北側や太陽の日が当たりにくい箇所は雨が降っても乾きにくいため、常に湿気を含んでジメジメした環境にあります。
すると、乾き切らなかった湿気や水分は冬場に凍結し、凍害が起こりやすくなるのです。
バルコニー
バルコニーは日の光が当たりにくく、特に内壁に凍害が発生しやすい傾向があります。
角部
建物の角の部分は雨風の影響を受けやすいだけでなく、外壁同士の繋ぎ目であるため劣化や不良が起こりやすく、凍害が発生しやすい箇所と言えます。
シーリングの周辺
サイディングの目地部分やドア周り、サッシ周りなどには基本的にシーリングが施されていますが、
シーリングは経年劣化によってひび割れや剝離、収縮(痩せ)などが発生し、そうして出来た隙間から水分が入り凍害が発生してしまいます。
直貼りサイディングに要注意!
上記で解説してきた箇所の他に、そもそも水分や湿気を溜めやすく、凍害が発生しやすい構造になっている外壁というのがあります。
それが、「直貼り工法」という施工方法で取り付けられている直貼りサイディングです。
「直貼り工法」とは、防水シートの上から直接サイディングボードを貼り付ける工法で、本来防水シートとボードの間に設置される「胴縁」と呼ばれる通気性を確保するための建材が無い構造になっています。
すると外壁内に湿気の逃げ道が無くなり、内部に湿気が溜まって内部結露に発展してしまいます。そして結露が凍結融解を繰り返すことで凍害を発生させます。
近年の住宅では直貼りサイディングの外壁はほとんど見られませんが、築年数が古い住宅の場合は直貼りサイディングである可能性があります。
直貼りサイディングかどうかを見極めるのは専門家に依頼するのが一番ですが、自分でも確認する方法があります。
水切り板金とサイディングボードの隙間に定規などを差し込んで奥行きを測り、奥行きが1cm~1.6cm程であれば直貼り工法であると考えられます。
直貼りサイディングは凍害だけでなく、塗膜膨れや剥がれなどの劣化症状も引き起こしやすいため、自分の家の外壁が直貼りサイディングだと思われる場合は早めに外壁カバー工事や透湿性向上のための塗装などのメンテナンスを行うことをおすすめします。
凍害が起きた外壁のメンテナンス方法
凍害が発生した際の補修方法は様々ですが、症状のレベルによって適切な補修方法は異なります。
それぞれの症状レベルの基準は以下の通りです。※状態や環境によって異なります。
【軽度】
米粒程度の小さな剥離やひび割れなど、目立たない程度の損傷
【中度】
小さい範囲での塗膜剥離や基材の欠損など ※サイディング基材の劣化状態によっては重度と判断されることもある
【重度】
爆裂などによる内部損傷が激しく、外壁材が吸水して劣化している状態
このような症状レベルを基準に、どの補修方法が適しているのかを専門家が点検によって判断していきます。
方法1.塗装
適用症状レベル:軽度
劣化初期段階で、目立たない程度の小さな損傷の場合は塗装だけで問題なく対処することが可能です。
塗装のみでメンテナンスを行う際は、塗装をする前の下地処理が重要です。
まず、脆くなっている凍害部分の劣化を広げないように高圧洗浄を軽く行い、次にケレン作業をしっかりと行っていきます。
ケレン作業とは、サンドペーパーやタワシなどを使って洗浄時に落としきれなかった汚れや旧塗膜を綺麗に落としていく作業です。
旧塗膜や汚れが付着したまま上から塗装を行っても塗料がきちんと密着しないため、早期剥がれなどの原因になってしまいます。
ケレン作業が甘いと塗料の本来の性能を十分に発揮することができませんので、実は塗装工程の中でも特に重要な作業と言えるのです。
ひび割れがある場合は、パテ剤などをしっかりと奥まで打ち込みます。
また、直貼りサイディングで凍害が発生し、塗装メンテナンスを行う際は必ず「透湿性の高い塗料」を選びましょう。先述したように直貼りサイディングは通気性に劣るため、湿気を通す透湿性塗料でなければまた内部結露が発生してしまいます。
本来、直貼りサイディングで凍害を繰り返さないためには外壁の全面張り替えかカバー工法が最も適していますが、費用が高額なため難しい方も多くいらっしゃいます。
その場合は、凍害をはじめとした劣化の発生を少しでも抑えるために、必ず透湿性塗料を使用しましょう。
方法2.部分補修
適用症状レベル:軽度~中度
初期段階よりも凍害が進み、塗膜剥離が発生している場合は、部分補修を行った上から塗装を施す方法が一般的です。
補修には主にパテを使用し、補修後は塗装を行っていきます。
しかし、パテの効果は長期間継続されるものではなく、大体が短期間で劣化し、剥がれてしまいます。
すると、剥がれた箇所からまた水分が浸入し、凍害がさらに進行…というサイクルを繰り返すことになります。
また、一度水分を含んでしまったサイディングにパテ補修を行うと逆に内部に水分を閉じこめてしまう可能性があり、凍害がすぐに再発してしまうリスクもあるのです。部分補修は凍害の根本的解決には繋がらないということを覚えておきましょう。
方法3.張り替え(部分)
適用症状レベル:中度~重度
大きなひび割れや剥離が激しい場合には、部分張り替えという手段があります。
全面張り替えよりも費用が安いのがメリットですが、同じ模様や厚みのサイディングボードが手に入らないこともあり、その場合既存外壁と張り替えた部分でどうしても差があるように見えてしまうため、仕上がりの完成度が保証できないというデメリットもあります。
また、外壁内の劣化状態によっては全面張り替えでなければならない場合もあります。
方法4.張り替え(全体)・カバー工法
適用症状レベル:重度
内部損傷が非常に激しく、そして外壁材が水分を吸収しきってしまっている場合は、全面張り替えか外壁カバー工法での補修となります。
他の補修方法と比べて施工費用が段違いに高いのがデメリットですが、凍害のみならず外壁の劣化を根本から解決できるため、長期的に見ると費用対効果は高いと考えられます。
なお、使用する外壁材は金属サイディングがおすすめです。金属サイディングは表面が金属板で防水性が高く内部に水分を含まないため、外壁の凍害や雨漏りのリスクをほぼ解消することが出来ます。
金属サイディング
また、重度の劣化では外壁だけでなく建物の内部構造にも被害が及んでいることもありますので、その場合は外壁の張り替えやカバー工法と並行して、内部の構造材の補強や修理も必要となります。
その他のメンテナンス
「凍害が発生しやすい場所」で先述したように、雨水はシーリングの劣化部分からも侵入します。
凍害の原因となる水の侵入を徹底的に防ぐためには、劣化症状が確認された際に凍害が発生している箇所の補修と共に目地部分やサッシ周りのシーリングを点検し、必要であれば再度充填しておくようにしましょう。
また、サッシ周りや換気フードの付近には水切りを付けることをおすすめします。
水切りを付けることで外壁に水が伝うのを防いで周辺の外壁の湿気を減らし、凍害の発生を予防します。
凍害を発生させないためには?
凍害の発生を予防するためには、定期的に塗装・シーリングのメンテナンスを行うことが重要です。
劣化して防水性が低下した塗膜やシーリングのひび割れや剥離箇所は外壁の水分の浸入口となり、これらを放置しておくことで凍害発生のリスクが高まります。
サイディングの塗膜のメンテナンスサイクルは平均で10~15年、シーリングは10年前後と言われており、大抵はシーリングの方が早く劣化が進むため、サイディングの状態に関わらず新築から10年以上が経過したら一度メンテナンスを行うことを推奨します。
凍害に関する様々な補修方法を紹介しましたが、症状が重くなれば当然補修費用も高額になります。手遅れの状態になる前に、普段からメンテナンスに気を付けるようにしましょう。
凍害補修施工事例
柏市 S様
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