防水塗料は使用できない?シーリングは増し打ちでOK?圧倒的な厚みで高級感のあるデザインが特徴的な【ALC】について徹底解説!
2024.10.02 (Wed) 更新
みなさんこんにちは!
10月に入りました…!早いもので、今年もあと残すところ3か月です(*_*)最近は過ごしやすい気温が多いですね!急激に寒くなったので、くれぐれも風邪にはお気を付けください…!
さて、本日のテーマは【ALC外壁】についてです!
目次
ALCとは?
ALCとは、内部に無数の気泡を持つコンクリート外壁材です。
化学反応によって素材を発泡させて気泡を形成し、その気泡が入ったコンクリートを板状に成型して高温高圧の蒸気にかけ、長時間にわたって蒸気養生して硬化したものを「ALCパネル」と言い、このALCパネルが外壁材に使用されます。
気泡が入ることで通常の鉄筋コンクリートの約1/4まで軽量化されており、また自然素材の無機物で作られているため環境にもやさしく、耐火性や耐久性にも優れているためマンションや商業施設などの大型建築物によく使用されています。
さらに、数多い外壁材の中でダントツの厚みを誇り、80㎜近い厚みを持つものもあります。この厚みが彫りの深い模様を作り出して重厚感や高級感を演出すため、意匠性にも優れています。
初期費用は決して安くありませんが、その優れた耐久性と意匠性の高さから、ヘーベルハウスやミサワホーム、ユニバーサルホームなどのハウスメーカーでは新築の外壁標準仕様にも採用されています。
ALCの種類・主要メーカー
ALCはパネルの厚さによって「厚型」と「薄型」の2種類に分けられます。
●薄型:厚さ35mm~75mm未満で、主に戸建て住宅に使用され、別名「パワーボード」とも言われます。
●厚型:厚さ75mm以上で、主に鉄骨造・鉄筋コンクリート造などの高層マンションや工場に使用されます。
また、平らな部分に使用される「一般パネル」とコーナー部分に使用される「コーナーパネル」の2種類の形状があり、さらに表面加工の有無によっても「平パネル」と「意匠パネル」に分けられます。
1960年代に日本に技術が導入され、当初は5社が製造していましたが、現在は国内でALCを製造している企業は、
住友金属鉱山シポレックス(株)
旭化成建材(株)
クリオン(株)
の3社となっています。
ALCのメリット・デメリット
メリット
耐久性
ALCの内部には、厚型は鉄筋の骨組み、薄型(パワーボード)はメタルラスと呼ばれるスチール製の金網が組み込まれており、これらが補強材としての役割を果たすため耐久性に優れています。
また、変質しにくい無機物を使用した無機建材のため、経年による反りなどの変形も起きにくい傾向があります。
耐震性
ALC外壁は外壁内部の無数の気泡が地震時の振動を吸収するため、耐震性に優れています。
さらに、地震などで躯体が変形したときにパネルが回転することで変形による損傷を小さくする「ロッキング工法」と呼ばれる取り付け構法を採用しています。
この構法で取り付けられた外壁パネルは躯体の大幅な変形や破損が無い限りほとんど損傷を受けることがないため、パネルの損傷や脱落を防いで、建物の耐久性だけでなく安全性も高めます。
パネル自体も通常のコンクリート建材に比べて非常に軽量なため、構造体にかかる負担が少ないという点も耐震性の向上に繋がっています。
耐火性
ALCは国土交通大臣認定の耐火構造部材です。
外壁が炎に晒されていても内側が引火危険温度(約260℃)まで上がりにくいため、近隣のの火災などによる延焼の危険性を減らすことが出来ます。
また、無機物が主原料のため万が一燃えてしまった場合もガスや煙などの有害物資が発生することもありません。
断熱性
ALCの無数の気泡が空気を含んで空気層を作ることで熱の伝わりが抑えられるため、断熱性に優れています。
断熱材と併用すると、夏場は涼しく冬場は暖かいという室内環境を作り出しやすくなります。
遮音性
ALCは音を反射しやすく、さらには内部の気泡が音を吸収するため、パネルの向こう側に透過する音を最小限に抑える遮音性効果があります。
その効果から、上野駅の新幹線地下ホームの防音壁に採用されています。
重厚感があり、デザイン性が高い
ALCは外壁材の厚みがかなり大きな特徴で、例えばヘーベルハウスのオリジナルALC外壁材「ヘーベル」は厚さ75㎜、ミサワホームの「PALC」は厚さ80㎜です。
一般的なサイディングボードは厚さ14㎜~16㎜であり、サイディングボードのおよそ5倍近い厚みがあります。
厚みがあると彫りが深くなり、立体感が生まれて明暗がはっきりとするため一気に重厚感が出て意匠性が増します。
また、デザインパターンも各メーカーで様々な種類を展開しており、高級感のある幅広いデザインから好みのものを選ぶことが出来ます。
デメリット
吸水性が高い
ALCは内部の気泡によって軽量且つ断熱性や遮音性にも優れていますが、一方でこの気泡の穴から水分を含みやすく、吸水性が高いというデメリットがあります。
さらに、ALCパネルのほとんどには本来外壁材の内部に組み込まれて二重防水機能の役割を果たしている防水シートがありません。よって、吸水してしまうとダイレクトに外壁材の劣化に繋がる構造になっています。
劣化を防ぐために、塗装の際は全ての気泡をしっかりと埋めることが重要です。
目地が多い
ALCはパネルを建物に取り付けて施工するため、パネル同士に隙間(目地)が出来ます。
サイディングボードなども同様に目地が出来る構造ですが、ALCはサイディングボードよりもサイズが小さく設計されているので、その分目地が多くなります。
目地にはシーリングを充填して隙間を埋めていますが、このシーリングが劣化すると雨漏りや内部結露などの原因になります。目地が多い分、そのような劣化のリスクが高いと考えられるのです。
初期費用が高い
ALCはモルタルはサイディングボードなどの外壁材よりも初期費用が高い傾向があります。
しかし、ALC自体は定期的なメンテナンスを怠らなければ耐用年数は50年以上と言われていますので、コストパフォーマンスには優れています。
ALCのメンテナンスについて
ALCの主な劣化症状とメンテナンス方法
チョーキング現象
チョーキング現象とは、塗料に含まれている顔料(塗料の色彩を作る物質)が粉状になって表面に出てくる劣化症状で、外壁を指でこすると白い粉が付くのが特徴です。
塗膜が劣化している際に初期症状として起こる現象のため、塗装でメンテナンスが可能です。また、うっすらと粉が付く程度であればすぐにメンテナンスをしなければならないような緊急性はありません。
メンテナンスの際は高圧洗浄で表面の粉をしっかりと洗い流してから再塗装をしましょう。粉が残っていると塗装の際に塗料が十分に密着出来ずに施工不良の原因となってしまいます。
塗膜の剝がれ・ひび割れ
ALCは吸水性が高く防水シートも備わっていないことから建材自体に防水性がないため、塗装で防水性を補っています。
よって、塗膜が劣化してひび割れや剝がれなどが発生すると、そこから雨水などを吸収されて外壁材の劣化を早めてしまいます。吸水性が高いという性質があるからこそ、塗膜の劣化には特に気を付けなければいけません。
塗膜のひび割れ・剥がれは重度にもよりますが、塗装メンテナンスで補える場合がほとんどです。
塗膜のひび割れは2種類あり、幅0.3mm以下のひび割れは「ヘアークラック」、幅0.3ミリ以上、深さ4㎜以上のひび割れは「構造クラック」と呼ばれます。
ヘアークラックは浅いひび割れのため緊急性はありませんが、構造クラックは深く割れ幅も大きいため、見つけたら早めの補修が必要です。
補修の際は、ひび割れの内部までしっかりとパテを充填させるためにわざと切り込みを入れて幅を広げる「Vカット工法」という施工方法で補修を行います。
また、幅1㎜以上のひび割れの場合、塗膜だけでなくALC自体にヒビが入っている可能性が高いため塗装メンテナンスでは十分に対応できず、張り替えなどの補修になる可能性があります。
知識ある専門業者にしっかりと点検をしてもらった上で、適切な施工方法をで補修を行いましょう。
爆裂
先述したように、ALCの内部には鉄筋や金網が組み込まれています。
塗膜の劣化部分から吸水して内部に水分が入り込んでしまい鉄筋部分まで到達すると、鉄筋が水分によって錆びていきます。金属は錆びると膨張するため、膨張した鉄筋はコンクリートに圧力をかけて押し出してしまうのです。これを「爆裂」と言います。
爆裂が起きると内部の鉄筋などが剝き出しの状態になるため、欠損部分が多く状態が酷い場合には貼り換えが必要になります。
爆裂が起こっている場合はその周囲からまた吸水して被害を拡大させる恐れがあるため、早急な補修メンテナンスが必要です。メンテナンスの際は構造内部や下地材の点検をしっかりと行いましょう。
シーリングの劣化
目地シーリング箇所が多いALCだからこそ、ALCでのシーリングの劣化は外壁材の劣化に繋がる可能性が高いです。
シーリングは紫外線や雨風に晒されているため寿命が短く、平均で10年程度、早くて5年前後で劣化してしまうものもあります。
主な劣化症状としては、ひび割れ(破断)・痩せ(収縮)・浮き(剥離)などがあります。
これらの症状によってできた隙間から吸水してしまうため、隙間を作らせないために定期的に打ち替えや増し打ちなどのメンテナンスを行うことが大切です。
ALC のメンテナンス注意点・ポイント
塗膜の劣化・外壁材の劣化を見つけたら早めの補修を
ALCは防水シートがないため、水分が浸入するとそのままダイレクトに外壁材の劣化に繋がってしまいます。
吸水性の高いALCでの劣化を防ぐためには、とにかく防水機能を果たしている塗膜の劣化を防ぎ、目地シーリングなどその他の箇所でもひび割れや隙間などを作らせないことが重要です。
構造クラックや爆裂、重度のチョーキング現象などが発生している状態で放置してしまうと、そこからさらに吸水が進んでどんどん重症化してしまいます。
早々に補修していれば塗装メンテナンスで済んだ箇所が、放置したことによって張り替えでないと施工できなくなってしまったりすると、その分無駄に費用がかさんでしまいます。決して安くない外装メンテナンス、出来る限り出費は抑えたいですよね…
よって、塗装の塗り替えは必ず定期的に行わなければなりません。また、ひび割れや剥がれが起きていないかを定期点検してチェックすることも大切です。点検は最低でも5年に1回のペースで行うのが望ましいでしょう。
また、ALCは塗装前にシーリングを行う「先打ちシーリング」のため、シーリングメンテナンスと塗装メンテナンスを同時に行うことができます。
シーリングの寿命に合わせて10年~15年前後で塗装メンテナンスを一緒に行うのがおすすめです。
目地シーリングは増し打ちでのメンテナンスが可能
ALCでは目地シーリングのメンテナンスを行うことは必須と説明しましたが、ALCは他の外壁材と目地シーリングのメンテナンス方法が少し異なります。
それは、「最初のメンテナンスを増し打ちで施工できる」という点です。
シーリングのメンテナンス方法は2種類あり、古いシーリングを撤去して新しいシーリングと交換する「打ち替え工法」と、古いシーリングの上に新しいシーリングを重ねて充填する「増し打ち工法」があります。
目地シーリングのメンテナンスでは、通常打ち替え工法が選択されるのですが、ALCの場合は増し打ちを選択することが出来ます。
増し打ちを選択することによるメリットは、既存シーリングの撤去作業を省くことができるという点です。実はシーリングの撤去費用だけでプラスで何十万近い金額がかかるため、その費用を浮かせることができるのはかなり大きなメリットとなるのです。
なぜALCは増し打ちでメンテナンスできるのか?
シーリングメーカーでは、シーリング施工をする際に【8~10㎜以上の厚みを作ってシーリングを充填すること】を推奨しています。
この厚みが不足しているとシーリングが十分な耐久性を発揮できず、短期間で剝離や浮きなどの施工不良を起こしてしまいます。
サイディングボードの厚みは平均で14㎜~16㎜で、この上から増し打ちをしても8~10㎜以上の厚みを作ることは出来ません。よって、サイディングボードでは基本的に打ち替え工法が選択されます。
しかしALCは非常に厚い外壁材であり、薄型でも30㎜程度はあるため、この上から増し打ちでシーリング施工をしても十分な厚みを確保することが出来るのです。
透湿性重視の塗料を選択すること
ALCを塗装する際には、塗料の選定には十分な注意をしなくてはなりません。
よく勘違いされることが多いのが、ALCは吸水性が高く水分の浸入を抑える必要があるため「防水塗料」で塗装するのが望ましいという考えです。
これは一見理にかなっているように感じますが、実はALCの塗装に防水塗料は使用してはいけません。
本来、外壁の内部に吸収された水分は日差しの熱などによって温められることで気化して水蒸気となり、外壁の外へ放出されます。
防水のために塗装を施していても少なからず外壁材は水分を吸収してしまいますが、この「気化→放出」という流れがあることで、内部に多少水分が吸収されたとしても籠ることがなく、劣化に繋がる要因にはなりません。
しかし、防水塗料で塗装をしてしまうと、防水塗料の塗膜は内部からの水蒸気の放出もブロックしてしまいます。すると内部の水分は排出されずに閉じ込められてしまうため、塗膜膨れや剥がれ、カビの発生の原因となってしまいます。
「塗膜膨れ」とは、防水塗料や溶剤系、高弾性塗料で塗装をした際に水蒸気を通しにくく且つ塗膜が柔らかいため、逃げ切れなかった水蒸気が塗膜を押し出して膨れてしまう劣化現象です。
劣化をさせるまいと行った塗装のせいで、逆に劣化を促進させてしまうのです。
ALCの塗装メンテナンスで向いている塗料は「透湿性の高い塗料」です。
透湿性の高い塗料は、雨水は通しませんが湿気や水蒸気はしっかりと通します。これにより通気性が良くなり内部に水分が溜まりにくくなるのです。
また、ALCでは下塗り塗料に微弾性フィラーを用いることも多いですが、薄型のALC(パワーボード)の場合は塗膜膨れの原因になるため、あまりおすすめではありません。
【透湿性塗料使用の施工事例】
最後に
今回は、ALCについて解説しました。
ALCは内部に無数の気泡を含んだ非常に軽量なコンクリート建材で、気泡のはたらきによって断熱性や遮音性にも優れています。
また、外壁材の中でもトップを誇る厚みが特徴的で、重厚感のある意匠性を演出できます。
耐久性には優れていますが、他の外壁材と比べて目地が多いため目地シーリングのこまめなメンテナンスが必須です。また吸水しやすく防水性も低いことから、ひび割れや剥がれなどの劣化箇所を見つけたら早めに対処することが大切です。
初期費用は高いもののメンテナンスを怠らなければ耐用年数約50年と言われており、コストパフォーマンスには優れているため、定期的な塗装メンテナンスや外壁の劣化の点検などを行うことが、長持ちさせるためのコツです。
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