ご質問
千葉県松戸市在住です。
無機塗料は30年持ちますか?○○隊の○○くんがイメージキャラクターになっている○○ホームサービスが扱っている「○○シーズン」はJIS規定の促進耐候性試験で7500時間耐えられたようです。中には10,000時間という物も有るそうです。
そこで質問ですが、大手塗料メーカーと言われる日本ペイントや関西ペイントに同等の塗料はありますか?
また、このように今までの3倍の耐久力を持つ優秀な塗料なのに、使用する会社が少ないor訪問販売が多いのが不思議でなりません。
お答え
無機塗料についてはこちらのご質問にもありましたが、「無機塗料は30年持つかどうか」というお問い合わせを多く頂戴します。
ご質問くださった方が「使用する会社が少ないor訪問販売が多いのが不思議でなりません。」とおっしゃるとおりで、原理原則がお分かりの素晴らしい感覚だと思います。直感を信じて正解です。
噛み砕いてお話しさせていただきます。
まず、促進耐候性試験結果ですが、その試験規格はキセノンランプ照射試験(XWOM)という試験ではないでしょうか?
促進性はせいぜい2倍というのが最新のデータになります。弊社で研究機関の論文も保管しているのでよろしければ・・・。
7500時間ということは、南面の一日の日射時間を一年間平均で少なく見て5時間とすると、7500時間÷5時間=1500日分、二倍の促進性とすると3000日分ですね。
3000日分を365日で割ると8.2年分の耐候性試験結果しか確認できていないことになります。
更に実際は酸性雨や排気ガスも加わり、より塗膜を劣化させます。ですので一昔前のキセノンランプ試験の場合は20年分の試験をする場合は、18000時間以上の結果が必要ということになります。
キセノンランプ促進耐候性試験の結果を大きく誇張して表現しているカタログや説明にはご注意された方が良いと思います。そもそも何時間分は何年分という判断は各塗料メーカーの裁量で決めていますので。
それよりも、実際の塗膜を屋外で放置する暴露試験を重要視した方が良いですよ!
沖縄の宮古島は関東の紫外線量の2倍はあります。
宮古島暴露試験で8年間放置し劣化度が70%未満程であれば、関東では16年間でまだ70%塗膜が活膜だと言う事になります。
劣化は進むにしても、そのまま20年までは持ってくれます。
国内最大手の日本ペイントなどでは、キセノンランプ試験の約50倍ほどの促進性が期待できる超促進耐候性試験を主流にしつつあります。酸性雨の何倍もの濃度の過酸化水素水を噴霧+ランプ照射を行うことにより、現実に近い劣化兆候も再現出来つつあります。そのような試験を行っている大手塗料メーカーも300時間で15年相当(劣化度70%程度)の促進耐候性試験結果を有する塗料「アプラウドシェラスターNEO」を発売しております。
日本ペイント最強塗料ですらメーカーは20年とは謳っていないんですね。
大手は手堅く誇大広告にならないように気を使っていますからね。いい意味で安心でもあります。
話を戻しますと、本当に画期的な塗料ならばわざわざ手間のかかる訪問販売を行わなくてもメディアが黙っていません。そんなに群を抜いて凄いならプレスリリースに出せば一発で取り上げてくれると思います。
なぜ訪問販売で売り込みに来るかというと、そこそこの物を高く売るのが訪問販売の鉄則だということです。
これは今も昔も変わっていないんじゃないでしょうか?
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