塗装は絶対にNG!な屋根材【パミール】についての様々な疑問を徹底解説!メーカー保証はあるの?劣化症状・メンテナンス方法は?
2025.02.01 (Sat) 更新
みなさんこんにちは!
今日から2月ですね!今年は関東地方はまだ雪が降っていませんが、どうやら明日降るとか降らないとか…?ちなみに天気予報を見てもこちら(流山)の方はなんとも言えない予報でした(^^)
まだまだ風邪やインフルエンザが流行っているので、体調管理頑張っていきましょう!
さて、本日のテーマは【パミール】についてです!
目次
- 絶対に塗装をしてはいけない屋根材「パミール」
- パミールとは何なのか?
- パミールが製造された背景
- パミールの見分け方
- パミールに塗装が出来ないのはなぜ?
- パミールの不具合を段階別に解説!
- 【初期:レベル★】層間剝離
- 【中期:レベル★★★】基材の露出
- 【後期:レベル★★★★★】屋根全体に基材の露出が広がる
- 【番外編】釘の劣化
- パミールに対する保証はあるの?
- アルマによる屋根カバー工法
- パミールのメンテナンス方法
- なぜ葺き替え工法がおすすめなの?
- 古い屋根を残しておくリスク
- 1.腐食した釘がそのままになる
- 2.セットバックスターターが使えない
- スターターの役割
- 3.既存屋根の劣化
- 劣化状態によってはカバー工法も可能
- カバー工法を行う際のポイント
- 1.粘着式ルーフィングを使用する
- 2.断熱材一体型の金属屋根がおすすめ
- 3.ビスはステンレスのものを使用する
- 塗装を進めてくる業者には要注意!
- パミール施工事例
- シャインは流山市・柏市の屋根リフォーム・雨漏り専門店です
絶対に塗装をしてはいけない屋根材「パミール」
「パミール」という屋根材、皆様は聞いたことがありますでしょうか。
今までシャインが施工してきた屋根材の中でも多くを占めているのがスレート屋根ですが、その数々のスレート屋根を見てきた中でたまに現れるのが、このパミールです。
最近だと、昨年の11月中旬に施工完了したお客様も屋根材にパミールが使用されていました。▽
柏市 外壁付帯塗装・屋根カバー工事【ボロボロに剥がれてしまったパミールの屋根をスーパーガルテクトを使用した屋根カバー工法で補修】
実は、ここ数年でパミールの屋根の改修工事を迫られている人が増えているのです。
パミールは他のスレート屋根よりも脆く、また劣化症状も特殊です。そして、絶対に塗装をしてはいけない屋根でもあります。
パミールを普通のスレート屋根と同じものだと認識するのは危険です。今回のブログでは、パミールに起こる劣化症状と正しいメンテナンス方法、他のスレート屋根との違いなどを詳しく解説していきます!▽
パミールとは何なのか?
パミールは、窯業系サイディングの大手メーカー「ニチハ」より1996年~2008年の間に製造、販売されていた屋根材です。
カラーベストやコロニアルなどと呼ばれるスレート屋根の一種で、人体に健康被害をもたらすとして建材使用が禁止されているアスベスト(石綿)を使用しない「ノンアスベスト」を特徴としていました。
パミールはミルフィーユのように薄いスレートを何層にも重ねたものを高圧で圧縮するという構造になっていますが、築7年程度でこの層は徐々に表層から剥離してしまい、表面が剥がれたことによって露出した屋根材の素地が雨水や紫外線を吸収してしまうため、10年を経過する頃にはボロボロになってしまいます。
また、パミールの剥離は経年劣化だけでなく高圧洗浄や台風時などにも起こってしまうため、とにかく脆く、耐久性が低いという大きなデメリットがあります。
このような理由によって、通常スレート屋根材の寿命は20~30年と言われています(適切なメンテナンスを行った場合)が、パミールの寿命は基本的に10年程度で、中には10年に満たない内に劣化が進行してしまう場合も多くあります。
この耐久性の低さは大きく問題視され現在は製造中止になっていますが、2000年代後半まで普及していた屋根材であるため、今も尚、屋根材がパミールである住宅は数多く存在しています。
パミールが製造された背景
上記でパミールの耐久性が極めて低いという性質について解説しましたが、軟弱なパミールが生み出された背景には、1970年代から2000年代初期にかけて建材への使用が抑制されていた「アスベスト」という繊維鉱物の存在が深く関係しています。
アスベストは耐熱性や柔軟性に優れており、元々建材の補強材としてよく使用されていました。
しかし、1990年代後半からアスベストによる健康被害の報告を受けて危険性が認知されたことで、アスベストを含めない「ノンアスベスト」のスレート屋根が開発されるようになりました。
この時期はどのメーカーもアスベストを使用しない新しいノンアスベスト屋根材の開発が急がされていましたが、アスベストを含まずに同等の強度を保てるような製品開発自体が手探りの状態で、そんな中急遽開発された初期のノンアスベスト商品が「パミール」、「コロニアルNEO」、「グリシェイドNEO」などでした。
これらの屋根材は過去に販売実績もないため、長期使用の検証や耐久性・劣化に対する十分な検証が行われることなく採用となり販売に至ってしまいました。
よって、数年で割れや剝がれが発生してしまうような不具合だらけの屋根材となってしまったのです。
パミールの見分け方
スレート屋根すべてに共通するのが屋根先がデコボコしているという点ですが、その中でもパミールは凹凸の幅が均等なのが特徴で、それによって見分けることが出来ます。
しかし、劣化が進んでいるなどして幅の長さが確実に分からない場合は、中のセメント基材が見えている状況であればパミールだと判断する事が出来ます(下画像参照)。
因みに、パミール同様に劣化しやすい初期のノンアスベスト屋根材に「コロニアルNEO」という商品がありますが、
それは凹凸の幅が凹んでいる方が長くなっており、またパミールに比べて非常に割れやすい性質を持っています。
パミールに塗装が出来ないのはなぜ?
弊社シャインをはじめとしたきちんとした知識を備えたリフォーム業者であれば、「パミールの塗装は絶対にやめてください」と言われるでしょう。
その理由を解説していきます。
パミールに塗装すること自体は可能ですが、問題は「塗装する意味があるのか」という部分になります。
先述したように、パミールは劣化すると何層にもなっているスレートが表層から順に剥がれていきます。つまり、塗装したところでその塗装をした表層のスレートごと剥がれてしまうのです。
下の写真は、パミールの屋根に塗装をしてから僅か2年後の写真です。
塗膜が表層ごと剥がれており、とても2年前に塗装をした屋根とは思えない状態になってしまっています。
また、パミールの剥がれる性質は屋根材の構造上の問題であるため塗装でどうこうできる問題ではなく、塗装してもパミールが剥がれるのを防いだり遅らせることは出来ません。
つまり、パミールに塗装を行っても屋根材の保護には繋がらないため、数年後にはまた同じような劣化が起きてしまうのです。
さらには、塗装前の高圧洗浄の強い圧力によって逆に屋根のダメージを促進させてしまうことも考えられます。高圧洗浄は水で汚れを洗い流すよりも、こびりついた汚れを「削り落とす」というイメージに近いです。非常に強い水圧がかかるため、その圧力でパミールがボロボロになってしまうのです。
塗装工事は決して安いものではありません。
100万近い、またはそれ以上のお金を出して、数年後に劣化すると分かりきっている塗装を行うことは果たして意味があるのでしょうか?
というところが、我々リフォーム業者が塗装をオススメしない一番の理由であり、パミールに塗装がNGと言われている理由です。
そもそもスレート屋根への塗装は美観向上目的がメインであり、屋根を長持ちさせるための効果はほとんどないと言われています。
なんとなく「外装リフォームと言えば塗装」というイメージが先行してしまっている部分もあると思いますが、屋根材の種類や劣化状況、また屋根材の性質によって塗装以外の選択が適していることもあるのです。
パミールの不具合を段階別に解説!
パミールの劣化症状をレベル別に解説していきます。
【初期:レベル★】層間剝離
層間剝離(そうかんはくり)とはパミール特有の劣化症状で、初期症状として見られます。
屋根材が雨水の吸収→乾燥を繰り返すことによって強度が徐々に低下していき、層が端から捲れ上がって剥がれていくという症状です。劣化が進んでいくと、捲れた部分にコケがびっしりと生えていることもあります。
この状態ではパミールだと気付かない業者もいるので、間違えて塗装メンテナンスをされてしまうケースが多々あります。
【中期:レベル★★★】基材の露出
層間剝離によって剥がれた部分から雨水が浸入するようになると、層のひび割れや欠けなども発生するようになります。
そして、さらに悪化すると中のセメント(パミールはセメントを固めているため)の基材が露出し始めます。
ここまで剥がれが進んでしまうと、庭やベランダに剥がれたパミールの破片が落ちてくるようになったり、雨漏りが発生するようになります。
【後期:レベル★★★★★】屋根全体に基材の露出が広がる
基材の露出が屋根全体にに広がってしまうと、雨漏りのリスクがぐんと上がります。
写真を見ても分かるように、もう誰が見てもボロボロの状態です…。こうなってしまったら、出来るだけ早急にリフォームを行うようにして下さい。
スレート屋根の中でも築20年に満たない段階でここまで劣化が酷くなるのはパミールだけ、と言われています。
【番外編】釘の劣化
パミールは釘を打ち付けて固定していましたが、使用されていた「ラスパート釘」と呼ばれる釘の中にはメッキ処理が薄いものが混ざっており、腐食しやすい傾向がありました。
実際に、劣化したパミールでは錆びてやせ細ってしまった釘が多く見られたという事実が確認されています。
釘は屋根を固定するために非常に重要な役割を持っています。釘が腐食して錆びてしまうと固定力が下がり、屋根材がずれたり落下してしまう危険性があります。
この釘の不良に関して、製造メーカーのニチハは2010年11月に正式に文書を出しています。▽
また、同時期にリコール(製品に不具合があった際に製造メーカー等が修理・交換・回収を行うこと)も開始されています。
釘の入れ替えにかかる費用をを100%保証する、という内容になっています。▽
ニチハ「ラスパート釘」/ヤマト運輸WEBサイト「リコール・自主回収情報 」
パミールに対する保証はあるの?
パミールに対して、製造メーカーであるニチハから保証はあるのか?と気になる方も多いと思いますが、
「保証はされない」というのが事実です。
一般的なスレート屋根の保証は3~5年のものが多く、長くても10年と言われています。
しかし、パミールが製造されていたのは2008年まで。2008年に新築で建てた住宅の場合でも、現在既にそこから16~17年が経過しています。メーカー保証はとっくに切れてしまっているのです。
また、ノンアスベスト屋根の不具合は「経年劣化によるもの」とみなされているため、築10年以降で不具合に気づいてもメーカー側への製造責任は認められません。
アルマによる屋根カバー工法
以前は、製造メーカーのニチハが保証として自社製品の「アルマ」と呼ばれるアスファルトシングルの屋根材を提供するという対応を行っていました。
しかしこれはあくまで「材料のみ」を支給するという提案で、施工費用やその他の材料費はお客様の負担という形になっています。
そして、アスファルトシングルは軽量で低価格ですが、強風に弱い・断熱性が低いなどのデメリットも多く、屋根材としての性能としてはスレート屋根と同等またはそれ以下の屋根材です。
もし長持ちさせたい場合は、金属屋根を使用したリフォームが最も適しています。費用は多少高額にはなりますが、どのみち材料費や施工費が自費になるのであれば、コストパフォーマンスを考えた時に金属屋根での改修工事を行う方が圧倒的におすすめです。
パミールに限らず、初期のノンアスベスト屋根が使用されている住宅にお住まいの方は皆さんこの問題に悩まされています。
しかし、どんな高性能な屋根材もいずれかはメンテナンスをしなければなりませんので、「メンテナンスの時期が少し早まっただけだ」と前向きに考えると少し気持ちが楽になるかもしれません。
パミールのメンテナンス方法
パミールは塗装が出来ないためメンテナンスはカバー工法か葺き替え工法の二択となります。
そして、基本的には葺き替え工法がおすすめと言われています。しかし重度の劣化でない限り、カバー工法でも可能なケースも数多く存在します。
なぜ葺き替え工法がおすすめなの?
カバー工法とは「古い屋根の上に新しい屋根を被せる」という施工方法で、葺き替え工法は「古い屋根を撤去して新しい屋根と交換する」という施工方法です。
葺き替え工法は古い屋根の撤去作業が必要なためその分施工費用がカバー工法の1.3~1.5倍ほど高いと言われており、この金額がネックとなって屋根改修工事では葺き替え工法よりもカバー工法を選択する方が多い傾向があります。
葺き替え工法では古い屋根は完全に撤去してしまうので問題ありませんが、カバー工法では屋根をそのまま残しておくことによるリスクがいくつか存在します。
カバー工法・葺き替え工法共におすすめではありますが、以下の内容を参考に、自分の屋根の状態に見合った施工方法を選びましょう。
古い屋根を残しておくリスク
1.腐食した釘がそのままになる
パミールの不具合で紹介した「釘の腐食」ですが、カバー工法では既存屋根を取り付けた状態で新しい屋根を被せていきますので、腐食した釘が打たれた状態のまま上から屋根材を被せて仕上げることになってしまいます。
大きな劣化に繋がるかは分かりませんが、「固定力の弱いものが屋根の間に挟まっている」という状態は何かしらの不具合を引き起こす可能性もゼロとは言い切れないため、不安は残ります。
心配な場合は、施工業者に釘を打ち直してほしいという旨を伝えるといいかもしれません。
2.セットバックスターターが使えない
屋根の軒先に取り付ける金属部材を「スターター」(軒先スターター)といいます。
セットバックスターターは古い屋根材の軒先に引っ掛けて取り付ける仕様になっています。パミールは軒先の劣化が激しいため、セットバックスターターを取り付ける事が出来ない場合もあります。
スターターの役割
軒先に取り付けるスターターは、カバー工法の際に使用する「セットバックスターター」と、葺き替え工法の際に使用する「ゼロスターター」の2種類に分けられます。
カバー工法で用いられるセットバックスターターの役割は、厚みが増して高くなった屋根からの雨水をしっかりと雨樋へ流れ込むようにすることや、通気性の確保などがあります。
3.既存屋根の劣化
劣化の激しいパミールは水分や湿気を含んでいるため、カバー工法で上から屋根材を被せると結露などが発生して既存のパミール本体が劣化し続けるだけでなく、上から被せている屋根材の釘なども腐蝕させる可能性もあります。
水分を含んだパミールはルーフィングの密着性も悪いため、劣化が激しく既に雨漏りなどが発生してしまっている場合は葺き替え工法を選択するのが賢明です。
★葺き替え工法の施工過程に関しては、こちらのブログをご覧ください!▽
劣化状態によってはカバー工法も可能
しかし、カバー工法が選択できないという訳ではありません。
基本的に以下の内容に当てはまらなければ、カバー工法で対応することが出来ます。屋根の状況を専門家に確認してもらいましょう。
●屋根材が水分を含んでいる
●重度の基材露出など、劣化症状が進んでいる
●築20年以上経っている
カバー工法を行う際のポイント
1.粘着式ルーフィングを使用する
ルーフィングは一般的に釘を打ち付けて固定するものが多いですが、パミールに釘を叩きつけるとさらに傷んでしまう可能性がありますので、必ず粘着式ルーフィングを使用するようにしましょう。
2.断熱材一体型の金属屋根がおすすめ
断熱材一体型の金属屋根は中に断熱材が入っているため、ボロボロのパミールを面でしっかりと押さえつけて屋根を張ることが出来るのでおすすめです。
シャインでは断熱材一体型の金属屋根として、アイジー工業から販売されている次世代ガルバリウム鋼板「SGL鋼板」を使用した金属屋根材、「スーパーガルテクト」を取り扱っています。
3.ビスはステンレスのものを使用する
屋根材を固定するビスには、優れた耐食性を有するステンレス製のものを使用しましょう。
腐食に強いビスであれば、今後既存のパミールの劣化が進行して腐食が進んでもその影響をあまり受けずに済みます。
★カバー工法の施工過程に関しては、こちらのブログをご覧ください!▽
塗装を進めてくる業者には要注意!
パミールに塗装を進めてくるような業者は、圧倒的知識不足な業者か悪徳業者の二択と考えても良いくらいです。
パミールに塗装をしてはいけないというのは最早塗装業界では常識と言われることですので、塗装の提案をしてきた時点で、その業者に依頼をするのは絶対にやめてください。
塗れない屋根に塗装をしてしまうと、数年で元に戻るかまたは状態がさらに悪化してしまい、どのみち数年でまた修理を行うことになってしまいます。お金の無駄ですので、絶対にやめましょう。
★参考ブログ▽
パミール施工事例
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